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おとうさんへ

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あの日から一年が経ってしまったよ。
あの時からすべてが変わってしまって、時間は長いようにも感じる。
悲しい時間ばかりだった割に、過ぎた時間を思うとそれもまた寂しくなる。

ほんとうにばかだな。
とても不安だったのだ。仕事場の窓から見る景色。降り積もり、やむ気配もない雪をみて。こんな雪の中、作業しに行ったのだろうか、と心配した。体調も悪いのに、大丈夫だろうかと。

仕事先から君に電話がつながったとき、ほっとした。家に帰ってきて、こたつで寝ている君を見て、ほっとした。具合は悪そうだけど、ここにいて、温かくして寝てる。大丈夫だと思った。
まさかこんなにそばに居たのに、次の瞬間私たちのもとから居なくなってしまうなんて、思いもしなかった。

おとうさんも、ばかにはばかだ。あんなにも愛していた子ども達の成長も見ずにいってしまうなど。
君を守れなかったこと、後悔してもしきれない。助けられなかったことが悲しい。私はあなたの助けにならなかった。ごめんねと、どんなに言いたくても言えない。

「そばで見守ってくれているよ」と言ってくれる人もいる。
でも形はない。声も聞こえない。それはどうしてたって事実だ。あなたの生は終わった。死も終わった。

ただ、形が変わった、と思うようにはしている。何か他の物質になって。繰り返し生きてるのだ。
そう考えれば広く私たちは、ひとつでありひとつのものを作っていると言える。
地球の逆側の人であれ、地面の霜柱であれ、宇宙の塵であれ、同じもので、みんなでひとつのものを作り続けている。
私のこの先は逆に簡単になったよ。目の前のものをただ愛でて、慈しみながら暮らすだけでいいのだ。本当に簡単だ。

それでもあなたと一緒の人生のが良かったな。子どもたちもそう思ってる。
あなたの遺したものは私たちのなかに。これからも一緒に生き続けてくださいますように。
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青空

この日曜日に、夫の一周忌の法要を無事終えることができました。
今回も、ぽっかりと穏やかな良い天気でした。法要をとりおこなう時はいつも良い天気。
おとうさんが包んでくれているのだ、と思います。

皆様のお力添えのお陰で、遺族はこの日を迎えることができました。
心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

夫が旅立ち、もうすぐ一年が経とうとしています。
法要を終えて思うことは、まだまだ遺族はほんのちょっとしか、前に進んでいないということでした。
私自身も、自分が思っていたよりも、全くちょっぴりしか進んでいなかったことを知りました。
まだ若かったこと。それまでは元気だったはずなのに、突然の死であったこと。
死を比べることは、ならない事かもしれないけれど、60代、70代で亡くなることとは別種類の痛みがあります。

それでもほんの少しずつ、悲しみは形を変えていくのだろうと思います。
それぞれが影響を受けあいながら、それぞれの時間と方法でほんの少しずつ、故人との関係を見つけていく。



しかし、世界の情報を見聞きして思う。
夫は、若くして突然に人生を終えた。
遺族にとっては本当に哀しい出来事で、本人だって、まだまだ続けたいことも、未練もあったことだろう。

でも彼はその生い立ちで、おなかをすかせることもなく、寒さに震えることもなかった。
両親や家族に愛されて育ち、また家族や友人を愛した。
人の手で殺されることもなく、また自分の手で人を殺すこともなかった。
大病を患うこともなく、身体の衰えに怯えることもなかった。
死の恐怖に震える時間も、おそらく短かった。

その点は幸せだったと、言えるでしょう。
だからどうぞ、後はあなたの冥福を、
そういうものがあるとしたら、あなたが心安らかであることを祈っています。

受け継ぐもの

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年末年始のお休みを利用して、北海道に帰省しました。
友人のはからいで、懐かしい人たちにたくさん会えたり、少ないチャンスで会いたかった人に会えたり、姉妹や両親、祖母とゆっくり過ごすことができた、嬉しい日々でした。お導きに感謝します。
写真は小樽。水族館でペンギンのお散歩を見られました。

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うちの裏庭には二羽の鶏がいます。数年前に長男が、卵屋さんの廃鶏を譲りうけたもの。
最近こそ卵を産まなくなっていましたが、最初の一、二年は産みたてを提供してくれていました。
山梨に帰ってきてみたら、そのうちの一羽が瀕死の状態になっている。
数日間餌を与えられなかったストレスにより、もう一羽にイジメ抜かれ、背中から頭にかけての毛が無く血で黒ずんだ肌が見えている。歩けないし、目も多分見えていない。目前に餌を持っていけばかろうじて、見当でつつける状態。
聞けばやはり年明けまで鶏の存在を忘れていたようで、数日間餌なしで閉じ込められていたことになる。
これまで嫁だけが餌や水をあげていた(決して望んだわけではないのだが)ので、無理はないし、じぃじばぁばに鶏のことを頼むのを忘れ、さらに旅行中も鶏のことをすっかり忘れていたのだから、私の罪と言える。
でも、でも! 生き物がいるんだから、もう少し気にしてくれたっていいじゃないか!鶏の状態がショックで、罪の重さに耐えきれず、怒りは収まらない。しかし自分も悪いので、ストレートに家人に言えず、はけ口は愚痴となって孫①に。

餌あげてくれなかったから! 確かにちゃんと言わなかったけど、やってくれるって、思うじゃん!! などとこぼす。
すると孫①、そんな母に同調することなく、
「じぃじも、(お母さんと)同じように、誰かがやってくれるって思ったんだよ」
と諌められる。
私はぐうの音も出ない。そうだ、私だって同じなのだ…。
冷静で公平な孫①のひと言におどろく。

子どものひと言に驚いた一件として、孫②の話も。
夜眠る前にふとんの中で、孫②と二人で話をする。
寝つきの良い孫①はすぐ寝てしまえるのだが、孫②はとり残されてしまうことが多いからだ。貴重な対1の時間だからなのか、ちょっと入り込んだ話をしてみたくなる。

「孫②ちゃんや、にいちゃんがもし居なくなっちゃったら、おかあさん悲しくて生きていけないな〜」
とこぼす。実際そうだろうし、こうした不安に負けること、多々ある。
ついつい口に出してしまうこと、良くないな~と思うけれど。時に出てしまう。
孫②言う。

「いいんだよ。にんきないんだから」
(これは孫②独自の言い方で、人気ない、というのは多分自分のこと。卑屈になっている訳ではなく、俺のことなんていいんだよ、というようなニュアンスで言っているように思う)


「泣いたっていいんだ。
またがんばればいいんだ。」


「ちからくらべだ!」



オラ、孫悟空だ! とでも言い出しそうな、よどみのない可愛い笑顔で、まっすぐ天井を見てこう言ったのだ。
人生も後半戦にかかろうとする私にとっては、そこは「がまんくらべ」と言ってしまうところだけど、君にとっては「ちからくらべ」なんだね。予想だにしない答えと表情に、母、涙を抑えきれず。
ごまかし隠したつもりだが、やっぱり見つかって、
「かあちゃん泣いてるな!」
「とうちゃんいなくなったから泣いてるんだな」
と笑いながら言われるものだから、これまたかなわない。
「いやいやいや泣いてないよ~!」
とごまかし続けることが精一杯。
優しい言葉。どこか冷静な、私にはない視点からの意見。夫の存在を思い出す。

君たちが居てくれる以上、私は笑って進むしかないのだ。
たとえ何十年先のことであったとしても、どうかどうか、母よりも先にいってはくれるな。

かあさん

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正月前に、凧揚げをしました。
撮影は兄、被写体は弟と凧。

小学二年生男子の孫①と、母子お互いに険悪なやりとりになった時のこと。
詳しいいきさつは忘れてしまったが、おそらくは宿題やりなさい! とか、早くしなさい! とか、ささいなことで
私が声を荒げてしまったのだったと思う。

「おかあさんよりおとうさんが好きだったのに」
と言われてしまった。

…その場から消えたくなった。

長男が存命であったら、なんらこたえる一言でもなかったと思う。
仲良しの父と息子、私はその関係が好きだった。
おかあさんより、おとうさんが好き。それを聞いて、ほくほくした気持ちになれただろう。

だが今となっては、その一言は堪えた。
父親と遊びに行くことも多く、友達のようだった孫①のことが不憫でならない。
しかし噴出するのは相反する感情。悔しさと怒り。
私にはどうすることもできない。父親には絶対になれないのだ。

私が声を荒げるのにも実は訳があった。
時に言うことをきかない息子達。父親がビシッ! と言えば、しゅっと大人しくなっていたのに。
私が声を荒げてもいまいち、いや、ほとんど効かないのだ。
もっと強い声で言わなければいけないのでは? という迷いがあった。


先日孫②の五歳児検診が保育園であった。
保健師さんと対面で子どものこと、親自身のことなど相談できる機会で、そこで出会った保健師さんが、近しい方と死別した体験を持つ方だった。
うちの境遇を察して、彼女と話せるように組んでくれたのかな、と思ったけど、後から聞いたら偶然だったらしい。
気持ちに蓋をしていたのをそっと開けてもらえたような感覚で、涙がとまらなくなってしまった。

父親が居なくなってしまった、ということを知っている上で言ってもらえた一言がすとんと落ちた。
「おとうさんはおとうさん、おかあさんはおかあさんでいい」

ひとつ無くなった。その跡の穴を埋めようとしたくなるけど、私は×2にはなれない。
居なくなった人には、誰にもなれない。真似をしようとすれば無理が生じる。
私は私の声で伝え、自分の腕で抱えられるだけのものを抱きしめるしか、方法はないのだ。

父親の真似をして、彼らを釣りに連れていってあげたかったけど、今年はどうも億劫で行けなかった。
来年になって、少し暖かくなったら、おかあさんが連れて行こうと思う。多分最初は釣り堀だけど。

Mつ

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遠くの山はもちろん、近所の山も雪になりました。

東京時代に仕事仲間だった「Mつ」が手紙をくれた。
どことなく不器用ながら(失礼!)まっすぐなひとで、当時において腹を割って話せる貴重な友人の一人でした。亡き夫も彼女のことがかわいくて仕方なかったらしく、大好きだった。
※余談ですが嫁は職場恋愛・結婚で、当時私たちは夫の部下であったのだ。

長男が亡くなったことを手紙で連絡したつもりだったが、返信がなく、気がかりになっていました。
届かなかったのかな? 引っ越したのかな? 縁切り?? と、いろいろ考えていたので、今回のお手紙非常に嬉しかった。彼女がこの手紙を書くのに要したであろう時間が、思いを表しているようで嬉しかった。

そしてこれで、思いつくかぎりすべての、私たちとどこかの時間を共有してくれた方たちへの連絡がついたことになる。なんかひとつ仕事が終わった気がします。

Mつからの手紙には、いくつもの思い出が書かれていて、当時の夫や、あの頃のことを思い出す。
「あの頃は良かったなあ」と思う事は「負け」のような気がいつもしていて、「過去のどこかの時間ではなく今、今が一番充実していて幸せ」と思ってやってきましたが、いやぁ、ちょっともう無理かもしれません。

夫が居てくれた時間は、本当に幸せでした。
あの時間を糧にして余生を進むしか、もはや無い気がします。

私はまた独りになった、と言えば、多分お叱りをうけるでしょう。
そばに子どもたちも居てくれるし、家族も居てくれるし、支えてくださる方がたくさん居てくれます。
一人ではないのだけど、やっぱり独りになったなあ、と思います。
極上の寂しさです。でも決して不幸せではありません。

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ばぁばが毎日せっせと、いろいろなものを干しています。
この冷た~い空気と風が、きっとおいしくしてくれるのでしょう。

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葉っぱのところで吊してある大根もよく見かけますが、うちではこうして干しています。
今日は10回目の月命日です。振り返れば早いような、長い時間でした。
プロフィール

長男の嫁

Author:長男の嫁
山梨県北杜市明野町に暮らす、二世代農家[かねひこのはたけ 三井農場]長男の嫁のお百姓日記です。日々変化する畑の話と、家族の話をお伝えします。家族構成は下記をごらんください。

かねひこのはたけ Webサイト

 【じぃじ】
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『かねひこのはたけ』取締役社長。田んぼの責任者。身体の動きと仕事が速い。還暦はとうに過ぎたがその働きぶりに衰えはなく、毎日常に動き続けている。趣味は山登り、旅行、カメラ。

 【ばぁば】
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主に野菜畑の責任者。嫁に来た当時はお米が主力だった三井農場で、野菜の育生を始め、今では20種類近くの野菜を育てている。やさしくてしっかり者の三井農場の母。漬け物と煮豆が上手。趣味は旅行、編み物、テレビ鑑賞。

【長男】
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大学卒業後東京に暮らし、結婚して所帯を持ったが、「子どものためにも土に近い生活がしたい!」と一念発起。2010年1月より実家に戻って農業の勉強を始める。日々お百姓仕事をしながら農業の新しい担い手になるべく勉強に励む。2014年2月逝去。

【孫①】
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長男の第一子。小学校生活も二年目に入った7歳。3歳までは東京育ちだが今やすっかり山梨の子ども。趣味は魚釣りと読書、今は主にゲームに夢中。藤子F不二雄の作品と自然科学が好き。

【孫②】
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長男の第二子。おとなしめな孫1と比べるとひょうきんな4歳児。しかし恥ずかしがり屋。兄にあこがれと負けたくない気持ちの両方を持ち、泣いたり怒ったりふざけたりする姿が周囲の笑いを誘う。

【長男の嫁】
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北海道出身者だが寒さに弱く、関東の古民家の冬の寒さについていけてない。農業の「の」の字も知らず、じぃじばぁばの作業を少〜しずつ手伝いながらもまだまだ食べる専門。webサイト制作担当。

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